ひろしま漫歩
広島西消防署

  
ショーケースのような防災拠点
J R 西広島駅から新己斐橋を渡り平和大通りに入ると、左手の鮮やかな緑の間からガラスの建物が見える。市民の安全を守る防災拠点として平成12(2000)年に建設された西消防署だ。
 設計は、被爆後100年の西暦2045年に向けて優れた公共施設などを整備していく「ひろしま2045:平和と創造のまち」制度で選ばれた、建築家・山本理顕(りけん)氏である。
 建物の前に立つと、全面を覆う透明なガラスと、白いフレームの中に点的に配置された赤い外壁が印象的だ。まるでショーケースの中を見ているかのように、働く人々の様子をうかがうことができる。
 また、ガラスの効果であろうか、建物は構えたような威圧感がなく、中へ入りやすい雰囲気を持っている。
 正面の赤く塗られたエレベーターに乗り4階へ上がる。内部も、ガラスの壁で仕切られた空間となっている。消防服やホースなどを床のガラスの下に展示しているロビーが、さらに、署の内部を見渡せる見学テラスがある。このテラスから、救急教育センターでの実習の様子やロープを渡り訓練する消防士の姿などを間近にすることができる。
 突然、火災発生の放送が響く。消防士がてきぱきと準備し出動していく。こんな光景が目の前で展開した。
 西消防署は、まさに開かれた消防署であり、署内の活動に接することができるこの建物は、24時間地域社会を見守ってくれているという安心感を与えてくれる。
(都市政策部 石井)
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