西楽寺にて

 すっかり定着した『草津まちオープンミュージアム』が、今年は「ひろしま八区覧会・八区物館」の参加行事として一段とグレードアップした催しとなりました。その中で、ひときわ人気の高い二つのイベントに参加してきました。


 地元の女性3人(なごみの会)による琴の合奏 『六段の調べ』『晩秋』と、男性2人の観世流能楽の謡の連吟でした。
 雅で、たおやかな感じの琴の音や、腹の底から出る重厚な謡曲に会場は落ち着いた雰囲気が漂っておりました。

 琴の演奏に先立ち、『六段の調』を作曲した八橋検校がバッハと同時代の人と聞かされ、日本のクラッシクもやるじゃない!と誇らしく思ったり、

 謡曲では中年の女面で狂女などに用いる『深井』と言われる貴重な能面が、桐の箱からおもむろに披露された時には、おもわず息を呑みました。

第二部 雅楽と舞楽

   広島雅楽会(浄土真宗の僧侶60人で結成)所属の十一人(内女性一人)による雅楽と舞楽でした。
 狩衣に烏帽子を身につけた凛々しく、おごそかな若者の登場です。
 雅楽には、指揮者はいないそうで、鞨鼓(かっこ)と言われる打楽器の一打を合図で始まるのだそうです。
   言葉での進行のないまま、崇高な音色を響かせ人の心に迫ってくるものがあります。

   厳粛なムードが一変して和やかな笑いを誘ったのが、その中のお一人がメンバーの紹介と、個性豊かな楽器の音を聴かせてくれた時でした。
 いかめしいお坊様のイメージが吹き飛ばされるが如く、ユーモア溢れる話術につい甘え「雅楽とお寺さんとはどういう関係?」との質問に、「奈良の大仏の開眼供養の折、中国より入ってきたのが始まりだが、仏教にはお経など音曲に代わるものがあり必要とされなかった。その頃は神仏が融合調和の時代でもあり、神道に用いられていったようです」とよどみなく応えてくれました。


舞楽は、雅楽の演奏できらびやかな衣装と大きなお面をつけ、ゆっくりとした舞から猛々しい所作に変化したり・・・と、飽きることなく魅了させられました。
 宮島の近くに住みながら、まだ『舞楽奉納』を見学する機会を得ない私にとって値千金のチャンスでした。